はたらくものの医療生協_兵庫県民主医療機関連合会 会員ログイン
ホームへ戻る



生存権・・・父母が支えた65年(2004.10.07)

 Aさんはこの夏65歳になりました。重度の知的障害があり、65歳になる現在まですべての面倒を90才になる両親がみてきました。障害児の教育保障も生活保障も不十分な時代から、世間の無理解や偏見から我が子を守ろうと一生懸命に支えてこられたようです。

特に母はAさんを守ろうとする気持ちからか、ここ数十年はAさんを家から一歩も出さず世間とも隔絶した状態でした。近所の方たちもAさんを見かけない状態が続いた為Aさんの存在を知らない人もいるほどでしたが、行政の担当は知っていたのです。

戸籍も住民票もあるわけですし、国民健康保険にも国民年金保険にも(最近では)介護保険にも加入されているのです。またそれぞれの保険において無収入にともなう「減免・免除」の申請がされているのですから、その理由が重度の知的障害によるものであることも掌握できていたはずです。

今回Aさんが65歳を迎えたことと、支えであった世帯主の父が死去したことで将来の“介護問題”をめぐって行政とのやりとりが起きました。
 Aさんは知的障害者の療育手帳も傷害基礎年金も受給されていませんでした。父母がすべてを支えてきたとはいえ、余りにも行政からの援助や助言がなかったと思われます。
 現に、60歳を越えた時点で「老齢年金」の申請は手続きをしており、その時に手帳が無くても知的障害で申請できる「障害年金」の方が年金額も高いことはわかっていたはずです。その障害年金も65歳になる前の日までに申請しなければ受給できないのです。
 20歳以前に発症した障害であり20歳の時点ですでに障害年金を申請できたのです。受給できるはずだった障害年金の額は少なく見ても数千万、直近の遡及(さかのぼり)が可能だった時期の分に限っても約500万円の受給ができなくなってしまったのです。

 父が亡くなり、母も高齢でAさんの介護ができなくなる心配から行政に相談されたのですが、障害者支援費制度よりも介護保険を申請するようすすめられたようです。その理由としては「利用できる施設が多いから」というだけのものでした。
しかし介護保険は給付に上限があり、収入が無くても利用度に応じた負担が出ます。支援費は現在のところ給付上限も、自己負担も出ません。「緊急の時に介護申請されても
無理ですよ」とまで言って負担の多い介護保険にもっていこうとしたようですが、緊急時には「知的障害者基本法」にもとづきすみやかに“必要な措置“をすることが出きるのです。

 障害や年金の制度利用について必要な援助がされなかったのに65歳を区切りに負担が大きく公的責任の薄い介護保険で受けよ、とは余りにも無責任だと言えます。


お問合せ・ご意見・ご要望はこちらまで TEL 078-303-7351
〒650-0047 神戸市中央区港島南町5-3-7
TEL 078-303-7351 / FAX 078-303-7353